【現代日本のICT業界の構造と展望】
【業界構造】
日本のICT業界はシステム開発工程の分割化と商流の多重下請けが進行していた。昨今のICTソリューションの進歩でシステム開発工程そのものがコモディティ化した。結果、業界が以下に二分された。
1.クリエイティブクラス
→ICTサービスプロバイダー
→世界大手ICT企業16社、
→JISA(情報サービス産業協会)
→日本のICT業界における経団連。
法人会員:506社
団体会員:32社
賛助会員:41社
合計:579社
→知識集約的事業モデル
[事業戦略]
→知識集約型モデル
1.高品質のサービス
2.広域圏のサービス網
3.統合化された事業管理
事業のKFSはスケールメリットを活かした市場占有率の確保。企業のコアコンピタンスは営業力である。
[組織形態]
→フラットな組織形態で要員の多様性を尊重し、新しいビジネスモデルを創出する。
⑴ディレクター
⑵マーケティング&セールス
⑶サービスデザイン
⑸バックオフィス
2.マックジョブ
→ディベロッパー
→上記に該当しないソフトウェア開発会社、SES専業企業、個人事業主エンジニア
→労働集約的事業モデル
⑴低い労働単価
⑵大量の作業要員
⑶標準化された工程
→要員の生産性向上と案件の収益性改善が事業の最大の目的である。そのため階層化された組織体系の事業部制で、徹底的したコスト管理を行うことが事業のKFSである。
[組織形態]
→中央集権的構造の体制
[評論]
現代日本のICT業界ではかつて存在したICTエンジニアの職種ヒエラルキー(偉い順にPM→SE→PG→OP)は存在しない。ICTスキルを持たない新規参入要員でも年俸1000万円稼ぐことは再現性が高い方法で可能である。
【業界展望】
市場占有率トップ企業が利益最大となる。
→技術仕様の標準化及び公開化が進行しており、それにより工程が汎用化する。結果、事業の参入障壁が低下し、多数の事業者が市場に参加する。価格競争により、最終的にスケールメリットを活かした営業力で最大の市場占有率を確保した企業が業界の勝利者となる。
(ドイツのコンサルタント会社Roland Bergerが提唱したICT事業の成功法則として「創業3年以内に市場占有率16%を確保した企業が業界の勝利者になる」というのがある。)
【結論】
日本のICT業界においてエンジニアは不足していない。ICTサービスプロバイダー層は人員過多というのがコンサルタントとしての見解である。事業効率化のためにもICTサービスプロバイダー側は要員構成の見直しを行うべきである。
一方、ディベロッパー階層は価格競争によりICTエンジニアの単価と賃金が低下し、労働環境が悪化する。サービスプロバイダー側への事業転換を速やかに行う必要がある。